りつこの読書と落語メモ

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エンジェル エンジェル エンジェル

エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)

エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)

★★★★

コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。ある日、熱帯魚の水槽を見守る二人が目にしたものは―なぜ、こんなむごいことに。コウコの嘆きが、おばあちゃんの胸奥に眠る少女時代の切ない記憶を呼び起こす…。

寝たきりでぼけてしまったおばあちゃんが、主人公コウコが置いた水槽のモーター音で少女に戻る。自分のことを「さわちゃんと呼んで」と言うおばあちゃんに調子を合わせてあげるコウコ。調子を合わせているうちに、ほんとに友達同士のようになっていくのが、なんだかとても微笑ましくあたたかい気持ちにさせてくれる。

以下はネタバレ。








エンジェルという名前がついているのに、次々とほかの熱帯魚を襲う悪魔のような存在になってしまったエンゼルフィッシュと、自分が過去に抱いた負の感情をずっと心に閉じ込めて罪悪感を抱いてきたおばあちゃん。そんなおばあちゃんをコウコが悪魔のようなエンゼルフィッシュにかけた「私が悪かったねぇ…」という言葉で、救ってあげたんじゃないかな、と思う。

短くてあっという間に読めてしまうけれど、読み終わってからしみじみと余韻が続く、素敵な小説だった。