りつこの読書と落語メモ

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太陽の塔

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)

★★★★

Yonda?ブックカバー欲しさに買った新潮の100冊のうちの1冊。「本を読む人々。」に入っていなければ知ることはなかっただろう、この作家。いやほんとに最近どんどん日本にも面白い作家が出てきてるんだなぁ。1979年生まれって…。とほほ。

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

これは面白い!好き好き。一言で言えば非モテ小説?一見ばかばかしいけれど、でも心の隙間にすっと入り込んでくる悲しさもあり、なんかわかるなーという共感もあり、今時の若いもんも捨てたもんじゃないじゃないーといううれしさもあり(←ばばくさい)。

書き出しだけ読むと、和製「キャッチャー・イン・ザ・ライ」か?と思うけれど、いやいやいや、ここに出てくる大学生たちはもっとひたむきにもっと無闇に間違った方向に(?)突っ走っているし、そんな自分たちを冷静に見つめる客観性もちゃんと持っている。幻想と妄想もたっぷり、もてない自分たちのおかしな行動への言い訳もたっぷり、でもそんな自分たちを揶揄する余裕もちょっぴり。

「水尾さん研究」!(むむっ)ごきぶりキューブ!(おえっ)男汁!(おえっ)ええじゃないか騒動!(ぶわはは)
どれもばかばかしくおかしくそしてちょっと悲しい。凝った文体と、それを照れてわざと揶揄するようなおバカぶりと。遠藤周作にも似た?なーんて言ったら失礼か。(どっちに?)

これがファンタジーノベル大賞って、へぇーー?って感じもしないでもないけれど、いやでもなかなか良かった。確かに「太陽の塔」はすごい存在感だよね…。