りつこの読書と落語メモ

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ビッグTと呼んでくれ

ビッグTと呼んでくれ

ビッグTと呼んでくれ

★★★★

こ、今度こそ、心温まる物語が読みたいと思ってこれ。いやほんとに最近ヘヴィな作品が続いていたので。
これはすみ&にえさんのところの新刊情報で見たときから読みたいと思ってチェックしていた作品。このタイトルと表紙にヤラれた〜。

NYが舞台の青春ロック小説
破滅的パンクロッカーとバンドを組んだ、超絶デブ高校生のコミカルで強烈な日々を描く
17歳で身長184センチ、体重135キロ(横綱朝青龍とほぼ同サイズ!)。自分にまったく自信が持てない高校生のトロイはある日、偶然出会った伝説の若きパンクギタリスト、カートに出会い、バンドを組むことになって...。「おまえ、すげえドラマーになれるぜ、ビッグT!」
心に傷を抱えた若者たちが音楽をとおして真の友情を育み、家族との絆を取り戻してゆく軌跡を、強烈なパワーとユーモア溢れる筆致で描く、ハートに響く物語。プリンツ賞(ニューベリー賞YA部門)最終候補作!

超おデブの高校生トロイの自虐がたまらなくおかしい。
ニューヨークっていう世界で一番他人に厳しい街でデブとして生きることの厳しさ。(「こんな超絶デブに楽しい高校生活が送れるわけないだろう?」)歩いていても何をしていても目だってしまう、コミカルに見えてしまう、まじめに何かやろうとしてもパフっと息がもれてしまう。被害妄想もかなりのもので、食堂に行っても他人の目が気になって好きに食べ物を頼めないのだ。

しかしそんなトロイが伝説のパンクギタリスト、カートに出会い「ビッグT」と呼ばれ、ドラムを始めることで、自らの殻を破っていく。カートといるときのトロイのわくわくする気持ちは読んでいて胸が詰まる。こんな純粋な気持ちが裏切られませんようにと祈らずにいられない。元軍人でマッチョで厳しい父親も多分同じ気持ちだったのだろう。カートが最初に家に現れた時から、その後クラブに誘われた時の父親の様子には泣かされた…。どれだけ父がトロイのことを愛し、心配していたのかと思うと…。

そして後半。トロイが実はとてもまっすぐきちんと育っているということが明白になってくる。助けが必要だったのは、トロイじゃなくて実はカートの方だったのだ…。

トロイの成長していく様子がすがすがしく爽やかで、それを見守る父の目が温かくてほろりと泣ける、わかりやすい楽しい小説だった。