りつこの読書と落語メモ

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ウォーターシップ・ダウンのウサギたち

ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈上〉 (ファンタジー・クラシックス)

ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈上〉 (ファンタジー・クラシックス)

ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈下〉 (ファンタジー・クラシックス)

ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈下〉 (ファンタジー・クラシックス)

★★★★★

「すごく恐ろしいことだ!近づいてくる。ぐんぐんやって来る」。予知能力のあるファイバーの言葉を信じて、十一匹のウサギが旅に出た。いったいどこに平和な土地があるのか!?小さなウサギたちの大きな冒険…世界中をとりこにした名作が、今、改訳新版でよみがえる。

ウサギたちの心温まる物語と思ったらとんでもない。これはもう愛と冒険の壮大な物語だった。ウサギの物語、児童書だからと侮ってはいけない。
この本を読もうと思ったのはある人の感想を読んだから。「これを読まずに死ななくてよかった」こんな言葉を聞いたら、もう読みたくて読みたくて…。

読み始めたらもうハラハラドキドキ、ページをめくらずにはいられなかった。
ウサギの視点で描かれているのだが、それが擬人化されているというだけでなく、きちんとウサギの習性や動物としての特性も描かれている。
ああ、ウサギって大変なんだなぁ。でもなんて素晴らしい生き物なんだ。ああ、ウサギに生まれてほんとによかった。…気がついたらウサギの気持ちになって読んでいた。

登場するウサギがとにかくとても魅力的だ。
主人公のヘイズルは優しくて落ち着いていて頭が良くて勇気がある。弟ファイバーは気が弱いけれど予知能力があり、悪の匂いをきちんとかぎわける。村では上士だったピグウィグは短気でプライドが高くて扱いに難しいタイプだが、ヘイズルたちと何度も危機を乗り越えていくうちに、頼りになるなくてはならない仲間になっていく。弱さも見せるだけに、もう読んでいるとどんどんピグウィグが好きになってくる。
その他のウサギたちも、みな村ではただのみそっかすだったけれど、それぞれ機転が利いたり、忠誠心があったり、お話が上手だったり、ぞれぞれにいいところがある。それもこれもヘイズルが素晴らしいリーダーだからこそみんなの長所が活きてくるのだ。

村から出ることなく一生を終えるウサギが多い中、村を飛び出して自分たちで新しい村を作り出すというのはいかに大変だったことか。
ってフィクションだということを忘れてしまってるよ、私は…。

読んでいる間、何度も鳥肌が立ち何度も涙が出て何度も「頑張れ!!」と声をあげそうになった。

いやはや、この物語を書いた という人はいったいどういう人なんだろう。ここまで愛情を持って、そしてここまできちんとウサギの物語を書けるというのは…。すごいよ。

この本を図書館で借りた時、図書館員の女性が「ああ、懐かしいわ、これ」と、思わずといった感じで声をあげた。「すごくいい本よ。うん。ほんとにすごくいいの。」
私も彼女と同じように、そう言ってこの本を誰かに手渡したい。

ちなみに私がこの本を読もうと思ったのはこの記事を読んだから。いいなぁ好きだなぁと思うポイントが似ているなぁっていうのもあるんだけど、この方の文章がとても好きなのだ。私もこういう風に、好きな本の紹介したいんだよなぁって思う。んだけど、できてない…。