りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

魔術師

魔術師〈上〉 (河出文庫)

魔術師〈上〉 (河出文庫)

★★★★

夢中になって読みふけった3日間。読み終わった感想は「…なんじゃこりゃ?!」。

いやほんとにすごい小説だ。化け物みたいな小説。どんでん返しに次ぐどんでん返し。裏切りに次ぐ裏切り。ストーリーの面白さは抜群。サスペンスでもあり恋愛小説でもあり冒険小説でもありオカルトでもあり…こんな濃ゆ〜い小説にはなかなかめぐりあえないだろう。面白いけど不快。不快だけど爽快。

物語は、イギリスの中産階級に生まれオクスフォードを出た青年ニコラスが、英語教師としてエーゲ海の孤島に渡るところから始まる。前任の教師は何か事情があって辞めてイギリスに戻ってきている。事情を聞こうと彼を訪ねたニコラスをのらりくらりとかわした前任者は、別れ際「待合室には気をつけろ」と謎のメッセージを伝える。
島に渡ったニコラスは、退屈な毎日にノイローゼ寸前に陥るのだが、そこで大邸宅に住む老人コンヒスに出会う。その邸宅こそ、前任者が言っていた「待合室」だったのだ…。

私の大好きなクリストファープリーストの「魔法」にどこか似ているというコメントを読み、これは是非とも読んでみなければ、と思っていた作品。で、間違えてこっちの「魔術師」を読んじゃったりして、でもこっちはこっちでこれまたすごく面白くて得した気持ちになったりして、とちょっと回り道をしてからたどりついた、というのも、これもまた何かの陰謀なのか?!と疑いたくなってしまうぞ、こりゃ…。

で、「魔法」には全然似ていませんでした、はい。主人公の独白というスタイルとか、恋人の謎を追うというところは似ているけど、これはそんなに甘い小説じゃありませんでした…。感じ方ってほんとに人それぞれだなぁ。いやでも読んでよかった、と思える小説だった。これだから読書はやめられない。

魔法 (ハヤカワ文庫FT)

魔法 (ハヤカワ文庫FT)

魔術師 (イリュージョニスト)

魔術師 (イリュージョニスト)