りつこの読書と落語メモ

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イングランド・イングランド

イングランド・イングランド (海外文学セレクション)

イングランド・イングランド (海外文学セレクション)

★★★★

これはまた奇想天外な小説だった。
題名と本の外見からは想像がつかないような物語。第一部を読んで「ああ、こういう物語なのかな」と想像していたのと、第二部(これが80%ぐらいを占める)がまるで違っていて、「ええええ?」と呆気にとられる。

第一部では主人公であるマーサが自分の子どもの頃を振り返る。皮肉屋で辛辣なマーサの父親とのエピソードは、家族の不確かさやうつろいやすさを描いていてとてもリアルだ。
第二部では、一代にして莫大な富と名誉を手にした男、サー・ジャックが登場する。この世の全てを手中におさめたと豪語するサー・ジャックは、その誇大妄想的な発想で、イングランドイングランドと名づけた壮大なテーマパークを建設しようと考える。40歳になったマーサはサー・ジャックの元でコンサルタントとして働き始めるのだが…。

とにかくこのイングランドイングランドがものすごいのだ。ディズニーランドどころではない。イギリスのあらゆる要素を詰め込んだ、ホンモノとレプリカが混在する、ものすごいテーマパークなのだ。
この物語の中で何度も問いかけられるテーマは、「本物とはなんぞや」。今まで私たちが「本物の歴史」と信じてきたものは、本当に本物なのか?自然にそうなったのか?あるいは作為的に作られたものなのか?どこまでが本物でどこまでが嘘物なのか?今の自分は本物なのか?偽者なのか?作り物が本物を凌いでいく様や、演じていた人物そのものになっていく過程など、とても他人事とは思えないリアリティがあった。

哲学的な要素もあれば、笑える要素もたくさん。奇想天外なようでいて妙にリアル。
面白かった〜。他の作品も読んでみたい作家だ。