りつこの読書と落語メモ

はてなダイアリーからブログに移行しました。

回転する世界の静止点──初期短篇集1938-1949

★★★★

パトリシアハイスミスとルースレンデルは沢山読んでるんだけど、好きなのか?と聞かれると「うーん…」な作家だ。
特にパトリシアハイスミスはおよそウエットなところがなくて、主人公の心理がこと細かく描かれているのにおよそ共感できなくて、読み終わったときにどう感じていいかわからなくてしばし呆然…という作品が多いように思う。なのに、なぜか何冊も読んでしまっているのは、なんとなく怖いもの見たさがあるからなんだろうか。

これは未発表だった初期の短編集ってことで私の好きな翻訳本のサイトでも評判になっていたので、ぜひ読んでみようとチェックしていたもの。

これを読んで初めてこの人ってすごい作家だったんだなぁって思った。

「ドアの鍵が開いていていつもあなたを歓迎してくれる場所」や「スタイナク家のピアノ」はちょっとテネシーウィリアムズを彷彿とさせるような…。神経症と狂気の一歩手前ぐらいの女性をこんなにリアルに意地悪く冷静に描けるとは…。読んでる自分も彼女たちと同じようにぴりぴりしてくるようだったよ。

「広場にて」は映画になってもおかしくないようなドラマティックな物語。
「回転する世界の静止点」はこれまたどう感じたらいいのかわからないような作品。いったいこの後どう転がっていくの?と、読み終わった時なんとも複雑な気分に…。

最後の「ルイーザを呼ぶベル」がよかった…。これだけ寒々とするような作品が並んでいただけに…。こういう作品も書くのかとうれしくもなった。

これを読んでわかったこと。パトリシアハイスミスはミステリー作家じゃないんだ。心理小説なんだ。ミステリーのつもりでいつも読んでいたから、なんだかまどろっころしく感じて「え?だからなに?」と思ってしまっていたのかも。なんか他の作品も読んでみたくなった。