りつこの読書と落語メモ

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青い湖水に黄色い筏

青い湖水に黄色い筏

青い湖水に黄色い筏

★★★★★

これは図書館で背表紙を順々に見ていってふと手にとって借りてきた本なんだけど。いやよくこの本を選んだ、わたし!えらい!と自画自賛したくなるぞ。
なんたってこの地味な表紙にこのタイトル。普通見逃すよなぁ…。もうちょっと「おおっ」なタイトルはつけられなかったんだろうか。と思ったけど、原題が「A YELLOW RAFT IN BLUE WATER」だから、そのままなんだな。うーん…。

なんでこの本を読もうかと思ったかというと、中身をぱらぱらっとめくったら、「レイヨーナ」「クリスティーン」「アイダ」と、3人の女性の物語で構成されていたからなのだ。そういう構成の本に好きな作品が多いような気がしたのだ。そしてこれが大当たり!だったのだ。

第一部「レイヨーナ」は15歳の少女レイヨーナの物語。彼女が体験する出来事が彼女自身の口を通して語られる。
家に寄り付かない黒人の父と過激で激情家のインディアンの母親の間に生まれた少女レイヨーナ。彼女が病床の母を見舞うところから物語りは始まる。
いやものすごく過酷なのだよ。ひどい話なのだよ。なのになぜかかわいそうじゃない。なんかちょっとおかしくて笑えるのだ。だけど笑えるだけじゃないのだ。油断してるとうわっときてぐわっと泣ける。私はレイヨーナのあるシーンで号泣に近いほど泣いてしまったよ(電車の中)。

第二部ではレイヨーナの母である「クリスティーン」の物語。
ひどい母親と言っても過言ではないクリスティーンの語る物語は、レイヨーナが語った物語とシンクロするのだが、ああ、そうだったの…とほっとしたり、あなたのその気持ち全然ちゃんと伝わってないよ…と切なくなったり。1部を「娘の気持ち」で読んでいたのが、2部を読んでいっきに「母の気持ち」を呼び起こされる。

そして第三部では、クリスティーンの叔母(でもおそらく母と思われる)「アイダ」の物語。
まさかアイダには共感することはできないだろうなと思って読み始めたのに、ああ…そうなの、そうだったの…とまたまた泣きたくなる。でも泣きながらもちょっとふふっと笑いたいような気持ちにもなる。

こういう小説が好きなんだ、私は。こんなふうに感情をゆさぶられるのは本当にたまらない。

作者マイケル・ドリスはなんとルイーズアードリックの夫なのだそうだ。「ラヴ・メディシン」も「ビートクィーン」もずいぶん昔に読んだよ。マイケルドリスが自分の名前で出版したのはこの本が初めてということなのだが、私は断然こちらの方が好きだな。他にも邦訳が出ているようなので読んでみたい。