りつこの読書と落語メモ

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世界の果てのビートルズ

世界の果てのビートルズ    新潮クレスト・ブックス

世界の果てのビートルズ 新潮クレスト・ブックス

★★★★★

なんて素敵なタイトル。そして表紙がまたすごくポップでかわいくて素敵なんだ。ああ、もう新潮クレストって…!!

想像していたより、ずっとばかばかしくって過酷で痛くて下品でおかしい…最高な小説。この面白さはちょっとここ最近読んだ本の中でも類を見ないよ。ああ、もう最高だ。最高としか言いようが無い。

スウェーデンの北の果てフィンランドとの国境近くにあるトーネダーレン。主人公のマッティはこの地に生まれ成長していく。
5歳の時に友達になったニイラは、レスターディウス派の過激な信者の家庭に育ち、5歳になってまだ言葉がしゃべれない。父親は暴力をふるい母親は家庭の中で音を発することなく兄たちは殴りあう。悲惨な家庭で育ったニイラは、幼い頃から「うつ病」の症状がある。

かなり悲惨な状況なのだが、そんな過酷な家庭環境を一種の「笑い話」にしてしまうような、ユーモアがこの小説にはある。思春期を迎えたニイラとその兄が、アル中が進んで自分の息子たちに嫉妬をしてますます家庭内暴力を爆発させる父親を打ちのめすシーンがあるのだが、「ぶわははははは」と笑いたくなるような爽快感がそこにはあり、なんとも気持ちいい。

自分の息子が思春期を迎えつつあるということに気づいたマッティの父親が、サウナの中で息子に「大人の男同士」の話をするシーンもこれまた最高なんだ。
父親が語るのは、感動的でも深遠でもない…ものすごく下世話な話なんだけど、それを「ばかばかしい」とか「くだらない」とするのではなく、「これでおれも大人になった」と受け止めるマッティが、ほんとにたまらないほど愛おしいんだ。

宝物にしたいような小説に出会うことができて、本当にしあわせ。