蛇の形
- 作者: ミネット・ウォルターズ,成川裕子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/07/31
- メディア: 文庫
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★★★★★
ミネットウォルターズはどこへ向かっているんだろう。
明らかに「女彫刻家」や「氷の家」とは違ってきているよなぁ、最近の作品は。
黒人であるということと言動が奇妙であることから近所の人たちに虐げられ続けて来た「マッド・アニー」が死んだ。
警察は事故と片付けたが、殺人であることを疑わない主人公ラニラは20年間かけて事件の真相を明らかにしようと一人で捜査をすすめる。
次々明らかになっていく事実は目を覆いたくなるようなものばかり。
なぜ彼女がそこまでこの事件にこだわるのか。ウォルターズのことだから主人公ラニラにも何か秘密があるに違いないと読み進めていくと…。
前作もそうだったけど、ウォルターズは「何が行われたか」より「なぜ行われたか」ということに重点を置いているように思える。話したことより話さなかったことに興味を覚えるという一文があったが、この小説がまさにそう。人間の醜悪さや悪意に胸が詰まりながら、ラストに少しだけ救いを感じられたのが収穫か。
とにかくすごいことになってる。ウォルターズ。