りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

穴掘り公爵 新潮クレスト・ブックス

穴掘り公爵  新潮クレスト・ブックス

穴掘り公爵 新潮クレスト・ブックス

★★★★
題名からして危なそう〜。これは読めない代物かもしれないと思いつつ、新しい作家だし、新潮クレストだし、、と思って借りてみた。
たしかに非常に変わった作品。

広大な邸宅に暮らすイギリス人の老公爵。彼がなにかに駆り立てられるように、敷地内の地かに巨大なトンネルを掘らせ、トンネルを徘徊する、、。彼は、地図、骨相学にも激しく興味を惹かれ、常軌を逸した行動に出るのであった、、。

というと、なんだかものすごくエキセントリックな小説のようなのだが、この公爵がなかなか面白い人物なのだ。

たしかにかなり「狂気」との境目が危うくなっているような感はあるのだが、老いを見つめ、自分の混沌からなんとかして脱しようとする姿は、胸を打つ。
そして、さりげなく語られるエピソードの中には、思わず声をあげて笑ってしまうようなものもある。

作者は本名がマイケル・ジャクソン。しかしこれでは、あの、マイケル・ジャクソンと間違われてしまうと思って、ミック・ジャクソンにしたらしい。