ハートブレイク・カフェ
- 作者: ビリーレッツ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/01
- メディア: 文庫
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「毒の神託」にやられてしまったので、わかりやすい読み物が読みたくなって選んだのがこれ。
しかしこの邦題はいったい…。原題(「ホンク&ホラー近日開店」)のままでよかったような気がするんだけど…。
忘れ去られたようなぱっとしない町にある「ホンク&ホラー近日開店」というふざけた名前のカフェ。
オーナーのケイニーはベトナム戦争で心と身体に傷を負って、10年間一歩も外に出ていない。
従業員のモリー・Oは最愛の旦那に先立たれ、愛情を注ぎ込んでいた娘には「ロック歌手になるから」と家出され、その寂しさを埋めるかのようにケイニーと店の面倒を見ている。
常連しか来ないようなこのカフェに、ある日、インディアンの血をひくヴィーナという謎めいた女性と、英語をほとんど理解できなくて何の役にも立ちそうも無いブーイというベトナム人が、働かせてほしい!とやってくる。
登場人物1人1人がとてもイメージしやすくて、まるで映画を見ているような作品。
心に傷を持っていて、誰にも心を開けずにいた人々が、徐々に気持ちを通わせていくのが、読んでいて気持ちがいい。
最初たんなる「厄介者」に思えたブーイが、読みすすめていくうちに、どんどん好きになってきて、最後のブーイとケイニーの会話には、思わず涙。
良かったんだけどね、最初は星3つだったんだけど、この後に「エバ・ルーナ」を読んでしまったもんだから、星が1つ減ってしまったんだな。