毒の神託
- 作者: ピーターディキンスン
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 1998/03
- メディア: 単行本
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砂漠にそびえ立つ逆ピラミッドのような宮殿。その宮殿の王であるスルタンと大学の同級生だったモリスは、彼から膨大な報酬をもらって、宮殿の中の動物園を管理していた。
言葉を理解するチンパンジーのダイナ、独自の言語体系を操る沼地に住む沼族、そして宮殿内の人々の微妙な緊張関係が、ある日女テロリストに乗っ取られた飛行機が砂漠に墜落したことによって、徐々に崩れていき、ついには殺人事件が起こる。
面白さがわかりにくい作品かもしれないと助言されていたんだけど、確かに私にはちょっと入り込みにくい作品だった。
どう入り込みにくいかというと、全くといっていいほど感情を排除した書き方をされていて、情より知に訴えかける部分が強く、何事も感情でとらえる私には共感しづらいのだ。
しかし、まじめに淡々と描かれているけれど、ストーリーとしてはかなり奇想天外で笑える要素もたくさんあるのだ、実は。
モリスが沼族の沼に入っていくシーンは、映像が浮かんできて、匂いが(臭い!)してきそうなほど、強烈。そんな中でモリスが抱く恐怖と苛立ちと倦怠がとても上手に書かれていて、自分も一緒にドキドキしたりヒヤヒヤしたり無性にイライラしたり。
そしてラストはちゃんと謎解きももあって、ああそうか、これはミステリーだったんだなと気づかされる。
もうちょっと頭が良くなってから読んだら、もっと楽しめるかも。(来るのか、そんなときが?)