りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

アースクエイク・バード

アースクエイク・バード (ハヤカワ・ノヴェルズ)

アースクエイク・バード (ハヤカワ・ノヴェルズ)

★★★★
日本に住んで翻訳の仕事をしているイギリス人のルーシー。彼女の友達リリーが死体で発見され、ルーシーは容疑者として警察に連れて行かれる。

ルーシーはなぜ沈黙しているのか。彼女たちとルーシーの恋人禎二との間に何があったのか。
物語はルーシーの回想で進んでいく。

これはなかなか面白かった〜。ミネット・ウォルターズを髣髴とさせると言ったら誉めすぎかな。

こういう、普通の小説なのかミステリーなのかというような瀬戸際の小説って私は結構好き。トマス・H・クックの記憶シリーズもそうだけど、事件があって、それに深くかかわっている人物によって語られる真実。

たんなる犯人探しではなくて、1人の人間の心の中の暗い部分を、こんなふうに静かに描かれると、人間こそがミステリーなんだなぁとしみじみ思う。

1人称と3人称が入り混じったり、時に突き放すような乱暴な書き方がしてあったり、意味深なことがさらりと書いてあったりと、好き嫌いがわかれるところなのかもしれない。本物なのかどうかは2作目でわかるかな。