りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

七百年の薔薇〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

七百年の薔薇〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

七百年の薔薇〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

七百年の薔薇〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

★★★

両親が離婚して、母親とともに暮らしている少年のもとに、長年音信をたっていた父親スプーア男爵から手紙が来る。
その手紙には、自分の一族の男子は、50代半ばに自殺するか気が狂って死ぬ宿命にあり、自分自身も発狂のきざしが見えているという。彼が命を絶つ前に、少年に財産譲渡を行いたいが、そのためには少年が父親としばらく一緒に暮らす必要があるという内容が書かれていた。

少年が恐れと好奇心を抱いて父親のもとを訪ねると、そこで彼を待っていたのは、獰猛な赤い目をした12匹の犬と、地下室に咲き乱れる薔薇の花、そして少年の一部始終を監視カメラで監視する父親だった。

登場人物が一癖も二癖もあるような人間ばかり。父親はもちろんのこと、彼に絶対的に従う執事、少年が救いを求める女教師、そしてその恋人の超能力者。誰もが狂気と紙一重で、読んでいても誰を信じていいのかわからなくなる。

作者は少年向けのホラーを書く人らしい。