りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

心の砕ける音

心の砕ける音 (文春文庫)

心の砕ける音 (文春文庫)

★★★★★

記憶シリーズで大ブレイクのクックの新作。
私の好きだった「死の記憶」と、なんとなく雰囲気が似ている作品。

最愛の弟を亡くした検事の兄。彼の死には、彼が愛した女性が関わっているらしい。彼女のあとを追う兄。
その現在と過去が交互に語られ、彼らの間に何があったのかが徐々に明かされていく。

これは面白かった〜。心理描写がとても細かくて、読んでいるうちにだんだん語り手である兄の気持ちに、自分の気持ちがオーバーラップしてゆく。

何か起こりそう、悲劇の予感が読み進めるうちに濃くなっていき、どきどきしながら夢中になって読んでしまった。
全て語り尽くされているように見えて、しかしラストにはびっくりさせられて‥ ミステリーとしてもなかなか上等。