閉鎖病棟
- 作者: 帚木蓬生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/04/25
- メディア: 文庫
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ある精神科の閉鎖病棟で、重い過去を背負い、「精神病」のレッテルを貼られながら、明るく生きようとする患者たち。
そんな中で殺人事件が起きる。
悲惨な閉鎖病棟の実態を暴いた作品なのかと思いきや、とてもヒューマンな作品。
患者がどうして精神科に入院することになったかという経緯は、決して甘いものではない。
しかし彼らは別に私たちと何ら変わらない人間なのだ。しかし一度「精神病の患者」になってしまったら、もう以前の職業も人柄も一切合財が問われなくなってしまうという現実。
「自分たちが骸骨でないことをみんなに知ってもらいたかった。」というチュウさんの言葉が胸を打った。裁判の時のチュウさんの証言にはもう涙、涙。
全体に作者の温かいまなざしが感じられて、じんわりと心が温かくなるような作品だった。
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