りつこの読書と落語メモ

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ビーチ

ビーチ

ビーチ

★★★★★
レオナルド・ディカプリオ主演映画の原作。

イギリス人の青年リチャードが、タイを旅していて泊まった宿で、隣の部屋に泊まっていた麻薬で頭のイカれた男に話しかけられる。彼はなにか話したそうなのだが、リチャードはなにか胡散臭いものを感じて寝た振りをきめこむ。隣の男は夜中にうなされて「ビッチさえなければ、、」みたいなことを口走る。

次の日リチャードは、この国に誰も訪れない秘境の「ビーチ」があるという噂を耳にし、隣の男が言っていたのは、まさにこの「ビーチ」のことだと思い当たる。そして彼はリチャードに謎のビーチの地図を残して自殺。リチャードは、やはり男の譫言を聞いて好奇心をくすぐられていたフランス人のカップルとともに、地図をたよりに、ビーチへ向かう、、、。

読んでいて、前半からなにかが起こりそうな不安感がかき立てられる。
秘境のビーチで、シンプルな生活を送るうちに、失われていく時間の感覚、自分の残してきた家族やそれまでの人生。そしてそんな中でだんだん狂気が芽生えてきて、、、。

リチャードの、美しいビーチで感じる至福の気持ちと、コミュニティでの感じるちょっとした違和感。それがだんだん膨らんでいって、彼自身の精神状態も危うくなっていくのが、妙にリアルで、読んでいて空おそろしい。

でもそれでいて美しい。もっとジャンキーな小説かと想像していたのですが、思ったより静かで美しい小説でした。