りつこの読書と落語メモ

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フリッカー、あるいは映画の魔

フリッカー、あるいは映画の魔

フリッカー、あるいは映画の魔

★★★★
99年のこのミスの海外ミステリー部門で一位になってた。これが一位っていうのもすごいなあ、なんだか。

キャッスルというカルトな映画監督に魅せられた主人公が、彼の作品、生涯を追い続けるうちにあるカルト教団の存在に気がつく。キャッスルの映画に隠されたメッセージはなんなのか、そして彼はどうなったのか、、主人公が追ううちに、彼も事件に巻き込まれていき、、、。

邪悪な物、汚らわしい物を前にした時に、どれほどのものが見てみたいという好奇心と知りたくないかかわり合いたくないという気持ち、両方を持つことがある。

知れば知るほど、もっと知りたいと思う。もっとみたいと思う。でもそうするうちに自分もその中に取り込まれているとしたら?自分の愛する人も巻き込んでしまうとしたら?

虚実織りまぜて書かれたこの作品は、どこまでが実在でどこからが虚構なのかがわからなくなってくるような、妙なトリップ感。

キャッスルが作ったという映画の断片が非常にリアルに丁寧に描かれていて、実際に自分も暗い映画館の中で、ちかちかするフリッカーをみたような気分。こんな作品にはめったにお目にかかれないだろうなあ。

好き嫌いは別としても、こういうすごい作品を読むきっかけをつくってくれるんだからこのミスもなかなかなもんだな。