りつこの読書と落語メモ

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閉鎖病棟

閉鎖病棟

閉鎖病棟

★★★★
ある精神病院の閉鎖病棟を舞台に、そこの副医院長の妻と患者との悲恋を描いた作品。というと、なんか恋愛小説のようだが、決してそんなことはなくどちらかというとミステリーのような雰囲気もある作品。

作者は精神科の医院長の息子で、ポーの再来とも言われる作風で正気と狂気の境目を非常に美しい文章で書く。

ほかに、「グロテスク」「血のざわめき、水のささやき」を読んだことがあるが、両者とも不気味で静かで美しい物語でした。

閉鎖病棟は、同じ精神病院に勤め主人公の女性とも親しいピーターという老齢の精神科医によって語られています。彼は、主人公が恋いに落ちる患者(妻を妄想故に惨殺した彫刻家)の主治医でもある。

恋愛、嫉妬、憎しみ、、ささいなことをきっかけに人間って狂気に陥っていくんだなあと感じさせられる。

精神科医という立場から、主人公の女性と相手の患者の悲恋がいかに彼らの精神に作用し、悲劇に至ったのかを、冷静に書いているのですが、読んでいるうちに、この精神科医自身の欲望や悪意も読み取れてきて、これがこの作品をより不気味なものにしている。

でもどこか品があるんだよな、この人の作品って。