りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

恋のお守り

 

恋のお守り (ちくま文庫)

恋のお守り (ちくま文庫)

 

 ★★★★★

「恋はたいせつなもの…永遠だ。人生は、あっというまに過ぎるのに、聞いてごらん。流れる水が教えてくれるのもそのことなんだ…」少年の、月あかりのように淡く幼い愛と時間と死が、幾筋もの虹のように交錯しつつ展開する美しいメルヘン「恋のお守り」、主人公の少年と頭のおかしいオールド・ミスの奇妙な交友を描きつつ人間の宿命を暗示する「ミス・ダヴィーン」など、珠玉の抒情小説10篇。たそがれの詩人デ・ラ・メアによって誘われる、夢と現実のあえかな境界―。 

独特の雰囲気がある短編集。

人間の内側にある恐怖心や不安や熱情と、外的な何か…物だったり建物だったり他人だったり…が合わさっておきる魔法のような出来事。怖いだけではなく懐かしさもあったのは、子どもの頃に自分もこんなことがあったような気がするからなのかもしれない。

「恋のお守り」「ミス・ダヴィーン」「熱狂」「クルー」が特にお気に入り。
この本、読書メーターでこの本のことをつぶやいている人がいて読みたいと思った。
そんなことがなかったら存在にすら気づかなかった本。ネットやSNSのおかげでいろんな本に出会うことができて幸せだ。

夜の谷を行く

 

夜の谷を行く

夜の谷を行く

 

 ★★★★

 連合赤軍がひき起こした「あさま山荘」事件から四十年余。
その直前、山岳地帯で行なわれた「総括」と称する内部メンバー同士での批判により、12名がリンチで死亡した。
西田啓子は「総括」から逃げ出してきた一人だった。
親戚からはつまはじきにされ、両親は早くに亡くなり、いまはスポーツジムに通いながら、一人で細々と暮している。かろうじて妹の和子と、その娘・佳絵と交流はあるが、佳絵には過去を告げていない。
そんな中、元連合赤軍のメンバー・熊谷千代治から突然連絡がくる。時を同じくして、元連合赤軍最高幹部の永田洋子死刑囚が死亡したとニュースが流れる。
過去と決別したはずだった啓子だが、佳絵の結婚を機に逮捕されたことを告げ、関係がぎくしゃくし始める。さらには、結婚式をする予定のサイパンに、過去に起こした罪で逮捕される可能性があり、行けないことが発覚する。過去の恋人・久間伸郎や、連合赤軍について調べているライター・古市洋造から連絡があり、敬子は過去と直面せずにはいられなくなる。
いま明かされる「山岳ベース」で起こった出来事。「総括」とは何だったのか。集った女たちが夢見たものとは――。啓子は何を思い、何と戦っていたのか。
桐野夏生が挑む、「連合赤軍」の真実。

 閉じられた世界での集団心理の恐ろしさ。主人公の啓子は確かに身勝手なところがあるけれど、同じ立場に立ったとき彼女のようにはならないと言い切ることができない。
自分が属する集団で悪目立ちせず平和に過ごしたいと思わない日本人は少ないのではないか。

センセーショナルな事件を扱いながらも描かれるのはごく普通の人間の生活。普通なだけにこわい。
信じられないような経験をしてそれでもどうにか生き延びたとしても、その先にあるのは孤独なのか…。

末廣亭2月下席夜の部

2/28(水)末廣亭2月下席夜の部に行ってきた。

・歌太郎「磯の鮑」
・にゃん子・金魚 漫才
・円太郎「権助芝居」
・馬生「猫の皿」
翁家社中 太神楽
・南喬「味噌蔵」


南喬師匠「味噌蔵」
けちな人のまくらから「味噌蔵」。
けち兵衛さんの前半のケチぶり…おかみさんを持ちたがらなかったり婚礼の晩もおかみさんには二階に上がってもらったり…ひどいんだけど、なんかあっけらかんとしているから思わず笑っちゃう。
寒い晩におかみさんが暖かそうな布団を持ってきたことを思い出して、「二階に上がって貸してもらおうかな。でも近所の人に見られて、怪しいなんて言われたら…」とつぶやいてから「結婚したんじゃねぇか!」と気づくばかばかしさ。
子どもができて弱ってるけち兵衛さんを見て番頭さんがちょっと面白がって笑ってる感じがあってそれにびっくり。今までそんなふうに感じたことなかった。
そこらへんからすでにこの番頭さんの人柄がにじみ出てきてるんだなぁ。

旦那の居ない間にごちそうを食べましょうと奉公人に言われて厳しくたしなめたあとに「私もはなからそのつもりだった」。
番頭さんのその言葉を聞いて「驚かさないでくださいよ」と奉公人が言うと「小言は言うべし。酒は飲むべし」って…いいなぁ、そのセリフ。
みんなが食べたいものをいうのを番頭さんが嬉々としてメモする姿も楽しいし、その後の奉公人たちのべろべろな酔っ払いぶりが楽しい~。

戻ってきて怒り狂う旦那が「今日はみんな酔っぱらってて何を言っても無駄だし何かあっても助けにならないから寝ちまいな」というのもちょっと面白い。
できればこの後旦那のケチがすこーしでもゆるめばいいなぁ。

南喬師匠のトリ、結局3日しか(3日も?)来られなかったけど、楽しかったー。
次は国立だ!(行く気満々)

意識のリボン

 

 

意識のリボン

意識のリボン

 

 ★★★★

少女も、妻も、母親も。女たちは、このままならない世界で、手をつなぎ、ひたむきに生きている。恋をして、結婚し、命を授かった―。人生の扉をひらく、綿矢りさの最新短編集。

面白かった。なんか綿矢さん芸風(笑)変わった?
以前の痛々しさがなくなってちょっと達観したような…俯瞰してみているような印象を受けた。

30女の本音のようなものがにじみ出ていて「綿矢さんってそうだったのか」と思いつつ、作中にあった「作家が書くと全て本人そのものと思われてしまう」に「あ、そうだった。これはフィクションなんだから綿矢さん自身の事を書いているわけじゃないよね」と思い直してみたり。それでもなんかこう「生身」な感じは相変わらずで、自分の心の動きを丹念に見つめて丁寧に綴られていてそこがとても好きだな、と感じた。

大江戸悪人物語2017-18(全8回)episode 5

2/27(火)、日本橋社会教育会館で行われた「大江戸悪人物語2017-18 episode 5」に行ってきた。

・昇市「桃太郎」
・松之丞「慶安太平記より 佐原重兵衛」
~仲入り~
・龍玉「真景累ケ淵より お累の婚礼」


昇市さん「桃太郎」
昇太師匠の7番目のお弟子さんとのこと。
「私、4年前に自分の親と師匠のお許しをいただき、噺家になりました。ここでわざわざ自分の親と申し上げましたのには訳がありまして…。実はうちの父親、大変堅い仕事をしております。公務員です。公務員の中でも…警察官です。その父親の誕生日が1月10日。つまり…110番。まさに警察官になるべくして生まれてきたような人間でして…」そういったあと「私、こちらの会に呼んでいただいて大変ありがたいのですが、会場に入って初めて気が付きました。この会、悪人の会なんですね…。警察官の倅が悪人の会…」。

…ぶわははは。おもしろい!
こういうマニアックな会に集まるお客をまくらで笑わせるってすごいな。
「師匠に似て活舌が…」とおっしゃっていたけど、楽しい「桃太郎」だった。


松之丞さん「慶安太平記より 佐原重兵衛」
昇市さんのことを「できる前座さん」と褒める松之丞さん。
自分も龍玉師匠もこのあと笑いどころはいっさいないから、お客さんが唯一笑えるのが前座さんの落語だけ。だから笑わせてきてねと言ったら、ちゃんとああいうまくらをふってお客さんを笑わせられる。
そうすると次に上がった時にとてもしゃべりやすい。
これが前座さんがいまいちだと客席が微妙~な雰囲気になってる。
そういう意味では自分はいつも微妙~な空気にしてました。
なにせ松鯉に前座時代に教わったのがこれからする物語だったりして、私前座のころ平気でこのはなしを開口一番でかけちゃってましたから。
浅草の箸が転がっても笑うようなおじちゃんおばちゃんをしーん!!とさせちゃってました。
そんなまくらから「佐原重兵衛」。

前回ぐらいから謀反のためのメンバー集めの話が続いている。今回もそうらしい。
宗矩がお供連れて夜桜を見に行った帰り、いきなり宗矩の乗っている駕籠に槍を刺した人間が。
宗矩は咄嗟に避けたのでケガをすることもなかったのだが、明らかに自分を狙った行為にいったいだれがこんなことを…と思いをめぐらす宗矩は、その後しばらく自分を訪ねてくるものがあるともしかすると自分を狙った人物かもしれないと思い、会うようにしていた。

そんな時いかにも田舎者という様子の男が弟子にしてくれと訪ねてくる。
門弟たちは鼻で笑ってバカにするのだが、宗矩は心にひっかかるものがあり弟子として受け入れる。
何か月かたってから側近が宗矩に「あの男、文字が書けないなどと申していたがどうやらそうではないらしい」と、その田舎者が落とした俳句を持ってくる。その文字を見て宗矩は槍を刺したのがこの男・佐原重兵衛であることを見抜く。

…前回といい今回といいどちらかというと地味目な話で前日の疲れ(飲みすぎ)もあって少しうとうとしそうになった。


龍玉師匠「真景累ケ淵より お累の婚礼」
お久の墓参りに行った新吉はそこで同じように墓参りに来ていた女に会う。
それがお久の叔父三蔵の妹のお累。お累と新吉は一目見るなり二人とも目が離せなくなり、とくにお累の方は新吉に恋い焦がれるようになる。
ある夜、お累の部屋に蛇が出て、逃げようとしたお累は囲炉裏にかかっていた湯をあびて顔の半分に火傷を負ってしまう。こんな顔になったらもう新吉に会うことは叶わないとふさぎ込むお累を心配した三蔵は新吉に会いに行き、お累と結婚してくれないかと言う。
行き場のない新吉は快諾し、二人は結婚することに。

婚礼の晩、新吉がお累の部屋に行ってみると、なかなか顔を見せようとしないお累。
何度も請われてようやく顔をあげたお累の火傷姿を見て、これも豊志賀の呪いかと驚く新吉。そこへ蛇が現れて…。

…新吉もいったいどういう人なんだろうなぁ、と聞いていてなんかもやもや。
顔だけはいいから女にはもてて、根無し草のように女のところへ引き寄せられていくけど、必ず豊志賀の呪いで新吉が女を殺す、という展開なのかな。
新吉がからっぽな印象。

なんとなくこの日はちょっと単調に感じてしまった。自分の体調にもよるのかもしれない。

さん助ドッポ

2/26(月)お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」に行ってきた。

・さん助 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第十六回「亜米利加までも・・・」
~仲入り~
・さん助「手水廻し」
・さん助「人形買い」


さん助師匠 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第十六回「亜米利加までも・・・」
この日、鈴本で18時上がりの高座を終えて移動してきたさん助師匠。かなりお疲れの様子で、また先月のドッポの時と同様「打たれる時の斎藤」みたいな顔をしているので不安がつのる、るるる…。
鬼怒川温泉に仕事で行ってきた話などの立ち話の後、高座へ。

密会を重ねるお静と義松だったが、清蔵に踏み込まれて義松は川に飛び込んで逃げ、お静はすべての罪を女中のお常に被せ、清蔵も惚れた弱みからお静を受け入れて元の鞘に収まる。
しかし義松のことを忘れられないお静は、あれから義松はどうしているのか、どこにいるのかと思いを募らせている。

ある日、洗濯屋のお竹婆が奉公人と義松の噂をしているのを聞きつけたお静はお竹を呼んで問い詰める。
お竹から義松が隣家の質屋のお重と清蔵ができていることを聞いて強請に行ったことを聞いたお静は「もともと二人の仲には気づいていたけれど、そういう行動をとるとはさすが義松」と惚れ直す。
それを見たお竹が「あんなやくざ者にかかわらない方がいい」と言うと、「もともと泥を飲んできたあたしをなめるんじゃない。お前が清蔵に告げ口をしていることはとうにわかってる」とすごむ。

その夜、大川を一艘の怪しい舟が渡ってきて、お静が寝ている部屋へ泥棒が押し入ってくる。
ほっかむりをして顔を隠した泥棒は「有り金を全部出せ」とお静を脅す。
お静は「見込まれたのなら仕方ない」と金を差し出すと、泥棒はお静に猿ぐつわをはめ、連れて逃げる。
しばらくして舟の上で泥棒がほっかむりをとると、これが義松(←そうだと思ったよ!)。
お静が清蔵とよりを戻したことを聞いて怒り、金とお静の命を奪うつもりで押し入ったが、いざお静の姿を見るとまだ惚れていてそれができなかった、という。
それを聞いたお静は、自分もずっとお前に恋焦がれていた、殺されるのなら本望だ、と言う。
それならば自分と一緒にどこか遠くへ行き夫婦になって一緒に苦労してくれるかと尋ねる義松に、お前と一緒ならどこまででも行く、たとえアメリカまでも(←それがこのタイトルなのか!)と答えるお静。
二人は深川に舟を乗り捨て、木更津へ逃げる。

清蔵は泥棒の後を調べさせるがお静の行方はわからない。
また関係が明るみになったお常とも別れさせられてしまい、一気に二人の女を失ってすっかり意気消沈。
一時は栄華を誇った西海屋もどんどん左肩下がりになっていき、清蔵は裏長屋に引っ込み病を得てしまう。
3年寝込んでどうにか病は治ったものの、生きているだけの状態になってしまう。

…この後、木更津に行った義松とお静の物語に入っていくらしいのだが、なんと義松は親分になっていく任侠物へ…。
ほんとにこの物語がどういう展開になるのかさん助師匠にも謎らしい。
そして談州楼燕枝の筆致が、今回のように話がががっと展開するところではほんとにスピーディーに展開し、殺人や濡れ場のところはこれでもかとこってり詳細に書かれているらしい。

任侠かー。うへぇー(苦手)。
いやでもさん助師匠が今日の西海屋の出だしのところで「忍び寝(だったか?)を破られた二人」という表現にやたらと食いついて「こういう文章が私にはたまらないんです」と言ったり、西海屋を乗っ取った清蔵に敵討ちをする話じゃないの?!と戸惑ってたりするの、楽しい~。

さん助師匠「手水廻し」
噺が始まってすぐにうぉーーーっとなる。これは「手水廻し」!
「手水廻し」といえば圓馬師匠のがもうたまらなく大好きなんだけど、前回のドッポの帰りにこの会の常連のお客さんで「さん助さん、手水廻しやらないかなぁ」とおっしゃっていた方がいらしたのだ。
うおおーーー、確かにすごくさん助師匠に合ってる!いいよね!やってほしいね!持ってるのかなぁ?と盛り上がったんだけど、まさかその会話を聞いてたわけじゃないよね?!すごいすごい!

いやもうこれがめちゃくちゃ面白くて。
女中さんが部屋に入ってくるだけで面白いってなんなの?!
「ちょ、ちょぅずぅ?」も予想した通り素っ頓狂でおかしい。
和尚さんから「長い頭と書いて、長頭(ちょうず)」と教わり、引っ越してきたばかりの顔がながーい男を連れていくバカバカしさ。
そして「おらこの村に越してきたばかりで何か恩返しがしたかっただ」と言ってながーい頭を回すばかばかしさ。
さん助師匠が頭とあごのところに手をやって顔の長いのを表現しているのがまたおかしくておかしくて。
笑ったー。


さん助師匠「人形買い」
「こんな私でも稽古をつけてくれとお願いされることがあります。前座さんとかもあるんですが、自分より上の真打の師匠から言われることも」
さん助師匠がそういうと客席から「ええ?」と驚きの声が。
それに反応して「この話よそうかな…」と肩を落とすさん助師匠。
きゃー聞きたいー心折れないでー。

この間も「熊の皮」を教えてくれと言われまして。
稽古ってたいてい浅草演芸ホールの2階の6畳間とか協会の2階とか…狭いところで差し向かいでやるので、かなり恥ずかしいんです。
でも「稽古を頼まれたら全力でやれ。お客様を前にするよりもっと全力で一生懸命やれ」というのがうちの師匠の教えでして…。
なので全力でやったんです。
で、やり終わったらその師匠が「あ、ごめん。レコーダーが動いてなかった。もう一回!」

えええ?と思ったけど先輩ですから「わかりました」ともう一度全力で。
するとその師匠「うん。1回目よりよかったよ」

…稽古をつけられているのはどちらだったのか…。

それから前座さん…この間寿伴さんに「雑排」を頼まれまして。
上の師匠方に稽古を頼まれた時は「やっていただいて結構です」と上げの稽古はしないんですが、前座さんの場合は…私は見なくてもいいやと思ったんですが、自分に置き換えてみると…自分が前座の時、上げてもらわないとやりづらいんですね。やっぱり見てもらいたい。
だから寿伴さんには上げの稽古もしたんです。
そうしたらあの人はとてもまじめな人で…私が教えたとおりに…「ねこのこのぉーーーー」って真っ赤な顔をして再現するんです。それを見て「ああ、自分はこういう芸風だったのか」と…。

…ぶわはははは!!最高すぎる!!
そうなんだよ見たんだよ池袋で寿伴さんの「雑排」を。これは絶対さん助師匠から教わったんだ!と思ったからもうおかしくておかしくて。
その話を聞けて、ほんとにうれしかった。

そんなまくらから「人形買い」。
以前さん助師匠で聞いたことがあったはずと調べたら、Una様の夜の九時落語で聞いていたのだった。
あの時聞いたよりずっと面白くなってた。
そして講釈の先生とか占いの先生とか…難しい文句を全部覚えてるんだから、落語家さんってすごいな!と改めて感動。

おしゃべりな定吉がおかしかったー。小僧さんやるときのあのしゃくれ顔、反則だわー(←ほめてます)。

2席ともとても楽しくて、前回ドッポの時の「さん助師匠の内側からピカーっと明るい落語が早く聞きたい」という願いがかなってとってもうれしかった。

 

鈴本演芸場2月下席夜の部

2/24(土)、鈴本演芸場2月下席夜の部に行ってきた。


・歌つを「子ほめ」
・喬の字「元犬」
マギー隆司 マジック
・さん助「茗荷宿」
・圓太郎「祇園会」
・ホームラン 漫才
・はん治「粗忽長屋
・文蔵「笠碁」
~仲入り~
・あずみ 三味線漫談
・小ゑん「ぐつぐつ」
・正楽 紙切り
・左龍「妾馬」


さん助師匠「茗荷宿」
なんかとてもがちゃがちゃしてる(笑)。
この噺を知ってる人はいいけど知らないと意味不明になるのでは。ちょっと落ち着いてちゃんと説明して…。
とはらはらしながらも、茗荷づくしのメニュー「茗荷のヴィシソワーズ」に大笑い。ぶわははは!なんじゃそれ。


はん治師匠「粗忽長屋
初めて来たお客さんが多く異様な盛り上がりを見せていたので、これはきっと「妻の旅行」だろうなと思っていたら、意外にも「粗忽長屋」。
好きだなぁ、はん治師匠の「粗忽長屋」。特に熊さんが好き。「あのーーすいません。ちっとも知らなかったもんですから」と言うところで毎回爆笑してしまう。


小ゑん師匠「ぐつぐつ」
盛り上がっていた客席が最高潮の盛り上がりを見せたのがこの「ぐつぐつ」で。
途中から後ろの方のお客さんたちが一緒に「ぐつぐつっ!」と言いだしたのには驚いた。
こんなこともあるんですね…。
私は大好きなセリフ(ふくろちゃんの「お茶をひく」)が聞けたので満足。


左龍師匠「妾馬」
「妾馬」でもこんなに大爆笑になって盛り上がるとは…。ほんとに不思議な客席だった。
でもこの日のお客さんにはぴったりのトリネタだったな、と思う。

末廣亭2月下席夜の部

2/23(金)、末廣亭2月下席夜の部に行ってきた。

・にゃん子・金魚 漫才
・市馬「時そば
・馬生「真田小僧
翁家社中 太神楽
・南喬「火焔太鼓」


市馬師匠「時そば
そばのつゆを飲むときの音がとても静かなのにちょっと驚く。なんかここは誰でも盛大に音を立てるからそういうものだと思ってたんだなー。
二番目の男がそばを食べて「べとべとだな」って言うところ、好き。


翁家社中 太神楽
今日も和助さんと小花さん。小楽師匠どうした?とちょっと心配に。

南喬師匠「火焔太鼓」
道具屋のまくらで「もしや?」と思ったら「火焔太鼓」!やったー。大好きな噺。これを南喬師匠で聞けるとは!

ぼんやりした道具屋の亭主がとってもいい!
女房に「お前さんは商売が下手なんだから」と言われ「おれは商売が下手か?そうかもしれねぇな」。
「お前さんは人よりうすぼんやりしてるんだから」「おれはうすぼんやりしてるか?そうかもしれねぇな」
「お前さんはばかなんだから」「おれはばかか?そうかも…」
一つずつ言われたことをぼんやり受け入れる様子のおかしいこと。しばらくしてから怒り出すのもリアル~。
あと一人になってから女房の愚痴をぶちぶち言いながら「あいつは俺に惚れてるのかね。でももう追い出してやろうかなぁと思うと夜になってくっついてくるときがあって…あれにやられちゃうんだよなぁ」と結局はのろけてるところもかわいい。

お屋敷に行くときに女房に脅されるところで「ぐるぐる巻きにされて一番高い松の木にぶらさげられるよ。そうすると鳥がやってきて、お前さんのへそのゴマをつついて食べるよ」のしぐさのばかばかしさがたまらない。

お屋敷に上がってからも、腰は引けてるけど調子のいい道具屋の主人とあきれるお侍の会話が楽しい~。
最初から最後までほんとに楽しくて笑い通し。幸せだった。

ゴーレム

 

ゴーレム (白水Uブックス)
 

 ★★★

 プラハユダヤ人街に住む宝石細工師の「ぼく」は、ある日、謎の人物の訪問を受け、古い書物の補修を依頼されるが、客の帰ったあと、彼について何も思い出せないことに気づいて愕然とする。どうやらその男は33年ごとにこの街に出現するゴーレムらしいのだ。やがて「ぼく」の周辺では次々に奇怪な出来事が…。夢と現実が混淆する迷宮めいたこの物語は、第一次大戦さなかに出版され、熱狂的に読まれたドイツ幻想文学の名作である。

ユダヤ人街ゲットーで記憶を失った男ペルナートがゴーレムに出会う。ゴーレムは不完全な自分自身なのかあるいは失った記憶の断片なのか自分の分身なのか。
とにかくこのペルナートが終始怯えていて…恐ろしい告白を聞いたり事件に巻き込まれたりと相当ひどい目にあうのだけれど、後半になるとそのこと自体に意味がなくなってくるようで…。

最後に彼が見た光景は要するに宗教的に解脱を遂げた、ということになるのだろうか。

もやっとしか理解できなかったのだが、これが100年前に熱狂的に読まれたというのに驚く。宗教的な下地があると読み方も違ってくるのかもしれない。

末廣亭2月中席夜の部

2/21(水)末廣亭2月中席夜の部

・にゃん子・金魚 漫才
・市馬「芋俵」
・馬生「鮑のし」
翁家社中 太神楽
・南喬「ふぐ鍋」

市馬師匠「芋俵」
ゆったり楽しい市馬師匠の「芋俵」、たくさんいるのにほとんど笑わないこの日のお客さんに波長が合っていたみたい。
私が入って行ったとき一生懸命笑わせようと頑張ってたニツ目さんはがんばればがんばるだけどんどん空気が冷えていったのに、市馬師匠のゆったり落語には(やっぱりそんなに大きな笑い声は起きないけど)ほんわかとした空気に。
いやでもやりずらいかろう、あんなに笑ってくれないと。うん。


翁家社中 太神楽
和助さんと小花さんの夫婦太神楽。
和助さんの土瓶の曲芸、すごいなぁ!太神楽は見慣れてしまって息をのむようなことはもうないんだけど、久しぶりに「うぉっ」と声が出た。
ナイフの奪い合いがいちゃいちゃしてるように見える(笑)。


南喬師匠「ふぐ鍋」
わーーい。ついに来られた、南喬師匠のトリに。
今年はたくさん行くぞー。
あ、嫌われない程度に…。(ドキドキ)

いつもの野ざらしのまくらに笑ってしまう。
話し方に抑揚があってそれにぐいーーっと引き込まれるんだなぁ。
こんな寒い日は鍋がいい、というまくらから「ふぐ鍋」。

一八を迎える旦那の鷹揚さとちょっとぞんざいな感じ、気に入られてる旦那のお供で湯河原に行った後に温泉巡りをしてきたという一八のでたらめな感じ。この二人の関係性(なんとなくお互いを信用してない)がにじみ出ていて面白い。
おかみさん、女中のおきよどん、猫にまで調子よくお世辞を並べる一八の適当さ。
お酌されるときに毎回大声を上げる一八もおかしいし、そこまでお世辞たらたらの一八が「ふぐ」と聞いて、かたくなに拒むのも楽しい。

知ってる噺なのに、二人の駆け引き、表情のメリハリが楽しくて笑い通し。
そしてお酒もふぐも本当に口にふくんでいるみたいで本当においしそう。
最初から最後までいい音楽を聴いているような気持ちよさで、幸せだった~。

葵落語会

2/16(金)、葵寿司で行われた「葵落語会」に行ってきた。


・幸太「道灌」
・雲水「持参金」
~仲入り~
・談幸「ねずみ穴」


幸太さん「道灌」
声の出し方や調子が談幸師匠にそっくりで思わず微笑んでしまった。
ゆったりと伸びやかなとても素直な落語。先が楽しみだなー。
打ち上げの時に伺ったら、幸七さんとは入門が一日ちがいなんだとか。しかも自分が師匠の出番を間違えてお会いできなかったのでお会いできたのが次の日になった、と。もし間違えてなかったらほんとに同じ日に入門、だったんだ。すごい。


雲水師匠「持参金」
冬季オリンピックのまくら。
スキーのジャンプ、ヨーロッパでは日本なんかに負けたくないから、日本人が勝つとそのたびに日本人に不利なルール改正をしている。これは悔しい。
で、ジャンプっていうのは結局のところ長く落ちてこないことがポイントなのだから、そこに着眼すると「モモンガスーツ」がいいだろう、と。でもこれももちろんそういうウエアを着たりするとルール違反といちゃもんをつけてくるだろう。
そこで考えたのが、ものすごーく太った人がものすごーく頑張ってダイエットすると皮膚が伸びてびろーんとなる。それを利用して、すごく太った人をスカウトしてくるか、あるいは選手をものすごく太らせたのち、ダイエットさせると脇の下の皮膚がびろーんとなる。皮膚なのだから違反もなにもない。それを使って飛べば間違いなく金メダル。

…ってばかばかしい~。なんだこの「おれすっげーこと考えた」って大真面目にバカバカしいことを発表する中学生男子感は。わははははは。

そんなまくらから「持参金」。
関西弁だとおなべさんのぶさいくぶりの表現もなんかユーモラスに感じられる。
そして持参金目当てで結婚したけど、次の日番頭さんが来ると「二言三言しゃべったけど、気立てがいいし気に入ったわ。嫁さんもお腹の中の子も一生だいじにするわ」とフォローの言葉。これがあるとないとではこの噺の後味が違ってくるからなー。

楽しかった。


談幸師匠「ねずみ穴」
冬季オリンピック興味ないと言いながらもついつい羽生くんが見たくてテレビの前でがんばっちゃった。
そんなまくらから「ねずみ穴」。
一番辛い部分をわりと駆け足であっさりとされたのでいやな気持ちにならずにすんだ。
お兄さんがほんとにいい人間なのか悪い人間なのか…この噺を聞くといつも考えてしまうんだけど、どちらにも転びそうな危うさが魅力でもあり怖さでもあるなぁ。

落語の後はおいしいお刺身や寄せ鍋や太巻きが出る打ち上げ。楽しかった~。

百栄の赤いシリーズ第18回 赤い家計簿

2/15(木)、らくごカフェで行われた「百栄の赤いシリーズ第18回 赤い家計簿」に行ってきた。

・百栄「強情灸」
・百栄「誘拐家族」
・こはる「反対俥」
~仲入り~
・百栄・こはる トーク
・百栄「猫の皿」
・百栄「ホームランの約束」

 

百栄師匠「強情灸」
わーー、百栄師匠の「強情灸」初めて聞いたー。
新作の噺家さんだと私の場合はたいてい新作の方が好きということが多いんだけど、百栄師匠の古典は大好き。
新作の噺家さんだとどうしても改変を期待してしまって、「あれ?ここも変えないんだ」「ここもそのままなんだ」って、そういう目で見てしまうから楽しめないってことがあるんだけど、百栄師匠は古典の改変はしなくて、でもなんか独特の風味があってそこがとっても面白い。

「強情灸」も面白かったー。
話し終わったあとに師匠が「この間お客さんにこのサゲの意味を聞かれまして…。私が思うにこのサゲは…」と言いかけて、みんなが固唾を飲んで真剣に聞いていることに気付いたのか、「あ…なんか言おうとするとどんどん自信がなくなっていくんですが」と言って、つまりはこういうことだろう、という解釈を。
どうっていことはないんですけど、なんかそれ以来この噺が気になるようになって、それで最近やってます、と。
私は結構サゲをちゃんと理解してないことも多くて、サゲを案外気にしないっていうか、なんとなくふわっとわかったようなわからないような気でいて、それでも楽しめちゃうんだけど、改めてこうやってきちんと説明されるとなんかすごく貴重なことを教えてもらったような気分。

百栄師匠「誘拐家族」
この会は勉強会っていうわけじゃないんだけど、そういえばこの噺最近あんまりやってないなと思ってネタ帳見たらここでもやってなかったので、と言って「誘拐家族」。
おお、私これ、テイトの会で見たことがある!

身代金要求の電話をかけて、「いくら用意すればいいんだ」と聞かれて「50万」と言う誘拐犯。
「ちょっと安いわよ!」誘拐された中学生が「せめて500万」と言うと「500万って…天文学的な数字じゃないか」。
さんざん二人でもめてもう一度電話口に出て「先ほどお電話した〇〇ですが」って名乗っちゃうのもばかばかしい。
おかしかったー。


こはるさん「反対俥」
わーー。こはるさん久しぶりー。うれしいー。
らくごカフェは前座時代に「立川流前座の会」でお世話になり、百栄師匠とはやはり前座時代ラジオ番組でお会いして以来。DVD買っちゃうぐらいのファンなのでとてもうれしくてドキドキしてる。
そんな言葉通り、確かにこはるさん珍しく緊張気味?

時々着物のままタクシーで移動することがある。
そうするとよく運転手さんに「若いのに(着物を)きれいに着ててえらいねぇ」と言われる。
この「若いのに」が明らか「中学生の男の子なのに」ぐらいな感じで言われてるのがわかるので「いやいや、そんなに若くないっすから」と答える。
その後聞かれるのは決まっていて「着物はお仕事で?」。
とにかく「落語家です」とは答えたくないので…というのは、落語家って言うと「じゃ、ここで小噺やって」とか言われかねないから絶対言いたくない。
なので「ええと…移動です」と答える。
しばらくそれでお茶を濁していてもまたしばらくすると「お稽古かなにか?」。
そう聞かれても「いやまあ…移動です」。
目的地に着いてお金を払っていると「いやでもあなた…声がいいよ。いい声してる。落語家になったらいいんじゃない?」

…ぶわははは。おかしい。
まくらでお客さんをつかみきれてないようなことを言いながら「反対俥」へ。
テンポもいいし声もいいし楽しい。んだけど、なんとなく少し乗り切れてない感じ?
って余計なお世話か。ぷぷぷ。
とにかく早い俥屋の威勢のよさ、そして高座の上で軽々と飛び跳ねるところ、かっこよかった~。


百栄師匠&こはるさん トークコーナー
主催者の方が仕事の都合で来られなかったのもあって気を使った?百栄師匠。
こはるさんに仕切らせるのは気の毒だからと、「今日は私が立川流のことを聞きたい」と。
今でも立川流として全員が揃うことはあるのか、そういう時だれが連絡してくるのか、だれがそういう会を仕切るのか、から始まって、Cコースは今もあるのか?とかそんな話。
面白かったー。

百栄師匠「猫の皿」
猫好きの百栄師匠が猫好きじゃない男の噺、っていうのが面白い。
茶屋の主人が「そんな汚い猫を」と言いながら、値段を3両までつり上げていくのがおかしい。
茶屋のおやじにしてやられたなーな感じがする「猫の皿」だった。


百栄師匠「ホームランの約束」
この噺、前に聞いた時はダークさに目が行ってしまってそれほど楽しめなかったんだけど、今回はなんかずっと楽しかった。
本音をボロボロいう野球選手と、最初はいかにも無邪気な感じに受け答えしていた子どもの立場が逆転していく面白さ。

4席も聞けて幸せ~。楽しかった。

 

れふかだ落語会 鯉橋・小助六二人会

2/14(水)、新宿LEFKADAで行われた「れふかだ落語会 鯉橋・小助六二人会」に行ってきた。

 

・小助六「春雨宿」
・鯉橋「時そば
~仲入り~
・鯉橋「蔵前駕籠」
・小助六井戸の茶碗


助六師匠「春雨宿」
大師匠の助六師匠はシャレのきいてる師匠で…少しシャレがきつすぎるところもあったみたいです。
楽屋にはそんな大師匠の伝説が残ってます。
そう言って語られた伝説がもう…楽しい!
きっと噺家さんもそういう師匠伝説が大好きで繰り返し繰り返し楽屋で語られているんだろうと思うけど、素人の私でもそういう話はほんとに楽しい~。
道徳的に見たら「あちゃー」な内容でも、それをみんなが受け入れて面白がるっていう、そういうの、いいなぁ。

一門には大事にしている噺というのがあって…というまくらから「春雨宿」。
うわーーー、小助六師匠が「春雨宿」って!
以前、音助さんとの会で音助さんが「春雨宿」をかけたんだけど、その時小助六師匠が「お前…よくこの噺かけようと思ったね」みたいなことを言っていて、確かにこれ…小助六師匠がやるイメージがわかないわーと思っていたのだった。
それをあえて…!うひゃーーー(嬉)。

助六師匠から「ケメ子」「ケメ?どんな字を書くの?」「ケメの名はのケメ子だよ」なんてセリフがでてくるのがもうおかしくておかしくて。
突拍子もない歌を振りきれたテンション(でもどこか恥ずかしそうでもある)で歌う師匠が楽しすぎる!
何度も「ぶわはっ!」と吹き出して、あーーー幸せ。
楽しかった~!最高。


鯉橋師匠「時そば
弟弟子が多いので最近は師匠と仕事で旅に行く機会はめったにないですが、この間久しぶりに行きました、と鯉橋師匠。
師匠と電車で隣り合わせに座ったりすると、昔の話を聞けてとても楽しい。
そういって鯉橋師匠も大師匠の話。
これがまためちゃくちゃおかしいーーー。歯が丈夫な鯉昇師匠と髪の毛が豊富な(笑)先代の柳好師匠(だったかな)の楽屋での会話…。笑った笑った。

一門で大事にしている噺…春風亭だったらやっぱり「時そば」ですかねぇ。私も師匠に教わりましたが…うちの師匠はみなさんもご存知の通り、噺をどんどんアレンジしていくので、今では全くの「別物」になりましたが。
そう言って「時そば」。

なんかテンション高めの弾けるような「時そば」で、鯉橋師匠のイメージがガラガラと…(笑)。
二番目のそば屋さんがお客に「塀を背にお食べなさい」とアドバイスし、汁を飲んだ客があまりのまずさにくらくらっとなって後ろの塀に寄り掛かるしぐさをするところは、間違いなく鯉昇師匠だ!
あと、勘定を払う時に客が「二杯といきたいところだけど、わきでまずいの食べちゃった」と言ったら、そば屋が「え?うちよりまずい店があるんですか?」。
…ぶわははは!自分のところのそばがまずいのを自覚してる?!

弾ける鯉橋師匠、おもしろかった。


鯉橋師匠「蔵前駕籠」
テンポが良くてメリハリがあって最初から最後までとっても楽しい。
駕籠に乗る江戸っ子が、覚悟を決めてふんどし一丁になるところがおかしいんだけど勢いがあってちょっとかっこいいんだなー。
よかったー。

助六師匠「井戸の茶碗
先ほどの「春雨宿」は師匠に稽古をつけてもらったんですけど…あれを目の前で見て笑っちゃいけないっていうのが結構きつかったです、と小助六師匠。
そして稽古をつけてもらいながら、「今度はこれを師匠の前でやらないといけないのか…それもきっついなぁ」と思っていると、師匠が「もういいだろ。お前、覚えてるだろ」と。
多分師匠もこれを私が自分の前でやるところを見たくなかったんでしょう。

…ぶわははは。小助六師匠と師匠との関係がなんか面白い~。もちろん師匠は「絶対」なんだろうけど、でもちょっとシニカルな感じがにじみ出ているところが面白いな、と思う。

そんなまくらから「井戸の茶碗」。おおお、小助六師匠が「井戸茶」とな!
この噺を人情でござい!と暑苦しくやる噺家さんもいるけど、小助六師匠のは軽めで私はそっちのほうが好き。
千代田氏が若干若い感じがするのは、小助六師匠が若いからかな。
本当に貧乏で苦しいからこそお金を受け取らない、という苦さは少な目だったようにも感じた。

好きな師匠を二席ずつたっぷり見られるこの会。
初めて行ったけどよかった~。

 

 

 

書店主フィクリーのものがたり

 

書店主フィクリーのものがたり (ハヤカワepi文庫)

書店主フィクリーのものがたり (ハヤカワepi文庫)

 

 島に一軒だけある小さな書店。偏屈な店主フィクリーは妻を亡くして以来、ずっとひとりで店を営んでいた。ある夜、所蔵していた稀覯本が盗まれてしまい、フィクリーは打ちひしがれる。傷心の日々を過ごすなか、彼は書店にちいさな子どもが捨てられているのを発見する。自分もこの子もひとりぼっち―フィクリーはその子を、ひとりで育てる決意をする。本屋大賞に輝いた、本を愛するすべての人に贈る物語。

 ★★

書店を舞台にして、各章に印象的な本(好みの作品が多い!)とそれに対する主人公のコメント(娘へのメッセージ)が載せられるという構成は本好きにはたまらない。…んだけど、なんかとても安っぽくて(すまない!)何も残らなかったというのが正直なところ。

すべて都合よく進んでめでたしめでたし、ではなく、苦い部分もあるんだけど、それでもなんか「安い」感じが拭いきれない。本屋大賞…。なるほど。うーん。

柳家小はぜ勉強会 ~勉強会ですが負けませんっ!~

2/10(土)、和光大学ポプリホール鶴川で行われた柳家小はぜ勉強会 ~勉強会ですが負けませんっ!~」に行ってきた。


・小はぜ「狸」
・小はぜ「やかん泥」
~仲入り~
・小はぜ「高砂や」


小はぜさん「狸」
冬季オリンピックの思い出。一番覚えているのは長野オリンピック。あの時私は中学生でした、の言葉にひぃーーー。若いわー(笑)。私なんか…むごごご…。
背の低い子をみんなで高く持ち上げてスキージャンプごっことか、磨き上げた廊下にやかんを滑らせてボブスレーごっことか…か、かわいいな、おい。
長めのまくらから、「キツネは七化け狸は八化け」…。あ、これは「狸鯉」だなと思っていると、なんと「狸札」。
おお、小はぜさんで「狸札」は初めてだー。と喜んでいると、サゲのあとに「もう一つ頼まれてくれねぇか」と兄貴のところに赤ん坊が生まれたお祝いをしたい、と「狸鯉」。
終わってから小はぜさんが、「狸札」と「狸鯉」を通しでやって「狸」というタイトルになる、と。なかなか寄席で通しでかかることはなかったのでいつかやってみたいと思っていた、と小はぜさん。
狸が化けた鯉を早速調理しようと兄貴が言うと「え?かわいそうじゃねぇか」「世話になってるんだよ」に笑う。確かに借金も返してくれたんだもんね。

「狸鯉」前にやっていた時より、狸に対して情がわいている描写が増えていて、楽しかった。


小はぜさん「やかん泥」
天真爛漫な新米泥棒。
ぱーぱーうるさいけど、暴力を絶対許さない姿勢には感銘(笑)。
ぽかっとやった兄貴を本気で怒っていたのに、釜を渡されてけろっと機嫌が直るのがいつ見てもかわいい。


小はぜさん「高砂や」
寄席でも流行りすたりがあるようで、最近になってこの噺を何回か見るようになったんだけどあんまり笑いが起きなくて案外難しい噺だなーという印象。
小はぜさんの「高砂や」はちゃんと面白くてさすが。繰り返しの加減とか間とか、私には難しいことはわからないけど、小はぜさんこの噺が好きなんだろうな、という感じがした。
うたいの調子も、浪花節もよかった!
皆勤賞で見に行っていたこの会、次回は用事があって行けず。残念!